図1 昔のソリテア盤
今回は定番中の定番パズル、ソリテアを紹介します。盤のくぼみや穴に玉などのコマを置いて、 規則に従ってコマを取り除いていき、最後に1個だけ残るようにするのが目的です。 一般的な規則は、動かしたいコマの縦か横の隣に別のコマがあり、さらにその先が空いている場所の場合、 隣のコマを飛び越して移動できます。そして移動の際、飛び越されたコマは取り除かれます。斜め移動は不可です。
子供のころ買ったことがあるのですが、遊んでいるうちにコマをなくしていって、予備のコマも使い切って遊べなくなった思い出があります。 学生時代にパソコンを手に入れた時、プログラムの勉強がてらソリテアを自作したこともあります。
すでに研究し尽くされたパズルで、これについて書かれた本はたくさんあります。単なる解法の手順だけ記したものから、 詳しいメカニズムの解説まで記述したものまで色々あります。その中でも参考資料1はしっかりと数学的な分析をしており、 さらに変形型の盤まで解説しています。
図1は、10数年前に骨董市で手に入れた昔の盤です。「アンティーク」と言えるほど古くはないようです。 左の白い盤は、手触りと重さから陶器製のようです。右側はベークライト製です。 どちらもコマとしてガラス玉が付いていましたが、もちろん(?)現代のビー玉でした。 アンティーク関連の業者さんにはパズルをよく知らない方が多いようで、 たまに「インテリア用品」と一緒にソリテア盤が並んでいることがあります(インテリアとしても使えますけどね)。
![]() 図2 ビーナスゲーム |
図2は現代の物で、ビーナスゲームという商品名で市販されています。 ソリテアは、過去にはピアスやコーナーゲームなどの名前でも売られていたようです。
このビーナスゲームには色の異なる玉が1個付いていて、2人用ゲームのキツネとガチョウも遊べるようになっています。 なお、参考資料1には「投獄されたフランスの貴族が暇つぶしに2人用ゲームのキツネとガチョウを改変して、1人用のソリテアを考案した」 という内容の記述がありますが、本当なのでしょうか? |
![]() 図3 東洋ガラスの小型ソリテア |
図3は、だいぶ前に都内の玩具店で入手した物です。デッド・ストックなのか中古品なのか不明ですが、 未使用のようで、かなり良い状態です。 この小型のソリテアは、スタートの状態として取り除く玉の位置は12か所ありますが、 対称形なので本質的に異なる位置は2か所です。 この2か所のうち、片方は1個だけ残して他の玉を取り除くことができますが、もう片方では不可能です(参考資料2)。 |
![]() 図4 三角形ソリテア |
図4は変わり種のソリテアで、穴の配置が三角形です。 三角形のため斜め2方向の動きと水平の計3方向になるので、 縦横だけの動きに慣れた頭だと先の見通しが立てにくく、かなり混乱します。 また、これはコマが玉ではなくペグ(杭)タイプです。個人的にはペグの方が安定していて扱いやすいので、ちよっと嬉しく感じます。 |
![]() 図5 ホッパーズ |
図5のホッパーズは、縦横だけでなく斜めの動きもOKにした、制限の緩いソリテアです。 斜め移動ができるので1個だけ残して全部取り去ることは割と簡単ですが、それを最少手数で行うとなると、それなりに頭を使います。 ホッパーズは故・芦ヶ原伸之 氏が考案したもので、参考資料2でも紹介されています。 さらに参考資料2には少しひねった遊び方と、その問題も掲載されています。 |
1) ゲームにひそむ数理 : 著:秋山仁,中村義作 森北出版株式会社 1998年5月15日発行
2) パズルの宣教師 : 著:芦ヶ原伸之 株式会社ニコリ 2005年1月15日発行